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後日
森に戻った俺は、木の幹で平和に樹液を吸っていた。 すると、アリがやってきた。 「やあ、カブトムシくん」 「おう、アリくんか」 「例の件、どうなった?」 「ああ。無事女の子を男の子の家まで案内したぜ」 「ほんとに?ありがとう!さすがカブトムシくんだね!」 アリはうれしそうに微笑んだ。 「で、男の子は喜んでた?」 アリが聞く。 「あ、ああ。男の子だな。うん、すげぇ喜んでたぜ」 「よかった〜」 うん。まあ、嘘じゃあねえよな。確かに男の子は喜んでたもんな。 「これでぼくの恩返しも成功だね!」 いや、それは微妙なんだが・・・。 ま、いいか。知らない方がいいってこともあるしな。 「じゃあ、カブトムシ君。今回のことのお礼に、これを受け取ってよ」 そう言ったアリの後ろには、一切れのスイカがあった。 「うおおおぉ!それは俺の大好物のスイカちゃんじゃないか!どうしたんだこれ?」 「例によって男の子のところからもらってきたんだ。みんなに協力してもらって運んだんだよ」 よく見ると、数十匹のアリがヨタヨタとスイカを支えていた。 「おお、悪ぃな。重かっただろ。ささ、そこに下ろしてくれよ」 アリたちは、樹の根っこの上にスイカを下ろした。 「じゃあ、ぼくたちは仕事に戻るから。働きアリは休憩時間がちょっとしかないんだ。それじゃあ、またね〜」 「おう。またな。ありがとよ!」 俺はアリを見送ると、ピョン、とスイカに飛び乗った。 「うおぉ、すげぇうまいぜ。やっぱスイカちゃん最高だな」 俺は、スイカの甘い汁を吸いながら、夏の空を見上げた。 「なんだか初日はいろいろあったけど、まだまだ夏は長いしな。楽しく行こうぜ!」 誰にともなく俺はつぶやいた。 |