vol.7

後日

森に戻った俺は、木の幹で平和に樹液を吸っていた。

すると、アリがやってきた。

「やあ、カブトムシくん」

「おう、アリくんか」

「例の件、どうなった?」

「ああ。無事女の子を男の子の家まで案内したぜ」

「ほんとに?ありがとう!さすがカブトムシくんだね!」

アリはうれしそうに微笑んだ。

「で、男の子は喜んでた?」

アリが聞く。

「あ、ああ。男の子だな。うん、すげぇ喜んでたぜ」

「よかった〜」

うん。まあ、嘘じゃあねえよな。確かに男の子は喜んでたもんな。

「これでぼくの恩返しも成功だね!」

いや、それは微妙なんだが・・・。

ま、いいか。知らない方がいいってこともあるしな。

「じゃあ、カブトムシ君。今回のことのお礼に、これを受け取ってよ」

そう言ったアリの後ろには、一切れのスイカがあった。

「うおおおぉ!それは俺の大好物のスイカちゃんじゃないか!どうしたんだこれ?」

「例によって男の子のところからもらってきたんだ。みんなに協力してもらって運んだんだよ」

よく見ると、数十匹のアリがヨタヨタとスイカを支えていた。

「おお、悪ぃな。重かっただろ。ささ、そこに下ろしてくれよ」

アリたちは、樹の根っこの上にスイカを下ろした。

「じゃあ、ぼくたちは仕事に戻るから。働きアリは休憩時間がちょっとしかないんだ。それじゃあ、またね〜」

「おう。またな。ありがとよ!」

俺はアリを見送ると、ピョン、とスイカに飛び乗った。

「うおぉ、すげぇうまいぜ。やっぱスイカちゃん最高だな」

俺は、スイカの甘い汁を吸いながら、夏の空を見上げた。

「なんだか初日はいろいろあったけど、まだまだ夏は長いしな。楽しく行こうぜ!」

誰にともなく俺はつぶやいた。