vol.6

なんとか危機を乗り越えた俺たちは、女の子を男の子の家まで案内することができた。

「じゃ、兄貴。おいらたちはこれで」

セミたちが言う。

「おお、ありがとよ。お前たちのおかげで助かったぜ」

「なんの。おいらたちも兄貴の役に立てて光栄だぜ」

「じゃあ、達者でな」

そして、セミたちは森の奥へと飛んでいった。

いいやつらだったな。

なんとも言えない心地よいものが胸の奥から湧き上がっていた。

それはそうと、本題だ。

いよいよ感動のご対面というわけか。

「あっ、ミカちゃん!」

少年がうれしそうにこちらへ走りよってきた。

それを見た女の子は、ものすごく不快な表情をした。

「あら。久しぶりね」

「もしかして、わざわざぼくに会いに来てくれたの?」

「違うわよ。なんだかわからないけどセミの大群に無理やり連れてこられただけよ。
特にあなたに会いたいなんて思ってないから勘違いしないで」

な、なんだ?この二人、仲が悪いのか?

「そんなこといって、照れないでよ。ぼくに会えなくてさみしかったんでしょ?」

うわ、なんだこいつ。すごい自惚れやだな。

「違うって言ってるでしょ」

「ミカちゃんたら、気が強いんだから。ねえ、ぼくの部屋においでよ。お菓子用意してるからさ」

女の子は、深くため息をついた。

「悪いけど。あなたの部屋には行かないわ。それから今後一切あなたに会いたいとも思いません。だいたい、気持ち悪いのよ。一日に何通も手紙よこしたりして。一方的なプレゼントとかもやめてほしかったわ。ママに怒られてたんだから」

ええー、もしかして、こいつってストーカーだったわけ?

「じゃ。そういうことだから。さよなら」

女の子はきびすを返して歩き出した。

「待ってよー」

男の子が追いかけるようにして歩き出す。

そのとき、さっきのばあさんが現れた。

「こら!どこ行くんだい!ウサ美をしつけられるようになるまで遊びにいかせないよ
!」

ばあさんは男の子の腕をつかんだ。

「なにするんだよ、おばあちゃん。せっかくミカちゃんが遊びに来てくれたのに」

「お前はまだわかんないのかい。ミカちゃんはお前のことを嫌がってるんだよ!迷惑だろ!ほら、さっさとこっちに来な」

うわ、このばあさんもすげぇな。孫によくここまではっきりと言えるもんだな・・・。

「ミカちゃ〜ん」

男の子はそう言いながら、ばあさんにひきずられるようにして家の中へ戻っていった。

ぽつん、と残された俺は、しばらく考えた。

「俺っていったい何のために苦労したんだろう」

考えても答えは出るはずもなかった。

「ま、いいや・・・とりあえず森に帰るか・・・」

俺は、とぼとぼと歩き出した。