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俺は、女の子の家に行くべく隣町を目指した。
しかし、その道のりは容易ではなかった。 「あ、カブトムシだ!」 「つかまえろ〜」 通る子供みんなが俺を虫取り網で捕まえようとする。 どうも最近は子供たちの間でカブトムシが人気らしい。 「このカブトムシすげぇでけーじゃん。捕まえたら高く売れるぜ!!」 などと抜かしている子供もいる。 おい、子供ならもっと子供らしい発想を持て。 どうにかこうにか子供たちの追撃をかわし、俺はアリから手渡された住所の家に辿りづいた。 ブゥゥン、とインターホンに飛びのってチャイムを鳴らす。 「ピンポーン」 「はーい」 ガチャ、と扉が開き、中から女の子がでてきた。この子だな。 「あら?誰もいないわ。いたずらかしら」 いたずらじゃない、俺だ。 俺は、インターホンから玄関に飛び降りた。 やあ、お嬢さん、はじめまして。あんたにちょっと来てもらいたいんだ。 「あら、カブトムシだわ。こんなところでめずらしいわね。誰かが飼っていたのが逃げ出したのかしら」 な、なんてこった。 言葉が通じてない。 おーい。俺はあんたに用事があって来たんだよ。 「・・・だとしたら、飼い主をさがして届けてあげなきゃ」 う。これはまずい展開になってきたぞ。 女の子はしゃがんで俺をつかもうとした。 うわっ。 とっさに飛んでよける。 「うーん、なかなか捕まえられないわ」 いや、むしろ捕まえられたら困ります。 これはどうにかしないとヤバイぞ。 ヘルプミーだ。 そのとき、ブゥゥン、という大量のムシの羽音が聞こえてきた。 「きゃあ、何よこれ!」 女の子が叫ぶ。 それは、セミの大群だった。 「へい兄貴!」 「助けにきたぜ!」 それは、幼虫時代、共に地中で暮らしたセミたちだった。 「おお、兄弟よ。みんな立派になったなあ」 計らずも、懐かしくて涙がでてきちまったぜ。 「オイラたちにまかせなよ!」 そう言ってセミたちはブンブンと羽音をたてながら、女の子の家の中に入って行くと、奥から真っ白なシーツを持って飛んできた。 そして、女の子をシーツに載せると、力の限り羽ばたいた。 「きゃあ!なに?なんなのよこのセミの大群は。気持ち悪い!気持ち悪いわ!!」 パニック状態の女の子もおかまいなしに、セミたちは目的地へ向かって飛び始めた。 「すげぇ。セミもあなどれないぜ」 そうつぶやいて、俺も後に続いた。 |