vol.3

森にて。

「で、俺様にカブトムシのおつかいの邪魔をしてほしいと、そういうわけか」

オオカミが、腕組みをしながら言う。

「そうよ。あんた、森の王者なんだから、そんなことくらい朝飯前でしょ?」

ウサ美が言う。

「そのとおり。俺様は森の王者。だが、なぜその俺様がお前のような子ウサギの頼みなんかきいてやらにゃならんのだ」

オオカミがもっともらしい意見を述べた。

「そもそも。なにか頼みごとをひきうけるには、俺様にとってそれなりの利益がなくてはならん。ボランティアじゃないんだ。いくら森の動物のよしみとはいえ、子ウサギに使われた、とあっては俺様の名も廃る」

ウサ美は、オオカミがそう言い出すであろう事を予想していた。

「はい、これ。あんたの好物のポークビッツよ」

ウサ美は、男の子の家のキッチンからこっそりとくすねてきたウィンナーソーセージを差し出した。

「まあ、そういことなら仕方がない。俺様にまかせておけ」

「頼んだわよ」

オオカミはゆっくりとたちあがり、森の外へと歩き出した。

それを見ていたウサ美がつぶやいた。

「ほんっと、馬鹿ばっか」